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第4回マックス「心のホッチキス・ストーリー」
お知らせ
  • 心のホッチキス大賞
  • U-18大賞
  • マックス賞
応募作品の傾向
マックス・心のホッチキス大賞

〈熊本県〉 きんぎょさん (女性・30代)
長男が2歳になった頃、私はシングルマザーの道を選んだ。
母一人、子一人。地元での二人暮らし。
実家の両親は、私たち親子を自立させる為、同居を拒んだ。

息子を育てて行く為に選んだ新しい仕事は、お給料を重視した分とても厳しく、毎日が戦いだった。
研修中、グループの皆が居残って勉強するなか、一人、定時に帰る不安。
まだまだ手がかかり、育児を楽しむ余裕もない。

ある日、仕事で失敗し、泣きたい気持ちを抑えて息子に接していた。
この子が寝るまでの我慢だ。この子が寝てから思い切り泣いたらいい。

寝かしつけるため、布団に入った。目を閉じて寝たふりをする。
しばらくして、静かになった息子。
そろそろかなと思った時、突然、小さな腕が私を包んだ。

「ママ、がんばれ。」

こらえていた涙がボロボロと流れ落ちる。
私は一人で戦っているわけじゃない。
私の隣にはいつも、世界一の味方がいる。
弱い自分に喝を入れながら、温かな気持ちで眠りについた。

マックス・U-18大賞〈高校生の部〉

〈三重県〉 ひなぴーさん (女性・17歳)
 私のお父さんは、仕事が終わると、よく帰り道にケーキやアイスを買ってきてくれる。私や妹やお母さんの分だけ買ってきて、いつも自分の分は買っていないから、私と妹から一口ずつあげるのが普通になっていた。どうして自分の分を買ってこないのかと聞くと、「いらんから買わんだけや」と言う。

 けれども私は知っている。夜中、お父さんが「今日も一口くれたで、俺に」と、嬉しそうな声でお母さんに報告していたこと。「うちには、ええ子が二人産まれてきてくれたなあ」。漏れ聞こえてきたお母さんの言葉を私は一生忘れないだろう。

 今日もお父さんは帰ってくるだろうか。一つ足りないお菓子の入った箱を抱えて。

マックス・U-18大賞〈中学生の部〉

〈岡山県〉 佐田 この実さん (女性・13歳)
 ああ。やっと今日が来た。あっという間だったなあ。そんなことを考えながら、朝のしたくをする。今日は第一志望の中学校の入試だ。きんちょうで胸がドキドキする。落ちたらどうしよう。不安でしかたなかった。ふと母にそのことを話した時だった。母は話しはじめた。

 「そんなこと気にする必要はないって。そういえば、あんたが6年生になって急に受験したいって言い出した時は正直びっくりしたわ。けど、あんたが頑張るって言うなら応援したいと思ってすぐに塾を探したのよ。夏期講習なんか朝早くから夕方までみっちり勉強しておまけに、夜中まで宿題して。あんたがこんなに1つのことを頑張れるなんか母さん思ってなかった。本当にびっくりよ。みんなは夏休み遊んでるのに、テレビも何にも見ずに本当によく頑張ったわ。えらい。でもね。大変だったのよ。母さんは弁当作って、父さんは迎えに行って、姉ちゃんは家事手伝ってくれて、弟は何も言わずに送り迎えの時、お留守番しててくれて。あんた、感謝しなさいよー。みんなが支えてくれてんだから。みんなの支えがあってこそのあんたの努力なんだよ。でも、あんたはよく頑張った。努力が実を結ぶ時だよ。思いっきり頑張っといで。」

 家族への恩返しのためにも、頑張るんだとやる気が出てきた。結果は見事合格。涙が出た。私はその時思った。この中学受験で私は支えてくれて、応援してくれる家族の大切さや、努力をあきらめないですることの大切さを学んだと。これから、支えてくれる人、応援してくれる人に心から感謝し、努力を惜しまないようにしたい。私の中学受験は大切なことに気づかされたものであった。

マックス・U-18大賞〈小学生以下の部〉

〈大阪府〉 よしせ ましろさん (女性・9歳)
 「すごい!おめでとう!」

 ドキドキしながら、合格けいじ板を見に行った。ようち園から仲良しで、一緒にピアノを習っている友だちと手をつないで、走って行った。けれど、ピアノコンクール本せん合格者と、目にとびこんで、来たのは、私の名前だけだった。友だちの名前がない・・・。自分が合格したうれしさと同時にとなりにいる友だちに何て声をかけたらいいかわからず、私はだまってしまった。そのしゅん間、友だちが、

 「すごい!おめでとう!」 
と言ってくれた。きっとくやしかったはずなのに、私の合格をよろこんでくれたのだ。私はとてもうれしくなった。そして、

「かならず本大会のおうえんに行くから、がんばってね!」
と言ってくれた。その、やく束通り、本大会にプレゼントを持って来てくれた。

 そんな友だちがいて、私は幸せだ。いつかぎゃくのたちばになったらかならず、そうしてあげたい。

マックス賞
  • 〈愛知県〉30代のおじさんさん(男性・30代)
  • 〈福岡県〉剛澄 貴恵さん(女性・30代)
  • 〈山梨県〉松下 加奈さん(女性・10代)
  • 〈神奈川県〉jaycoさん(女性・20代)
  • 〈茨城県〉かどまさん(女性・20代)

〈愛知県〉 30代のおじさんさん (男性・30代)
『上司にプレッシャーかけられて辛いよ。』
『わぁ!期待されるなんて羨ましい!』

『こういうトコが俺のダメなトコなんだよな。』
『そっかな?そこ好きなんだけどなぁ。』

『やばい。…できないかも。』
『大丈夫。大丈夫。君なら出来る。』

『安月給でごめんな。』
『幸せ貯金たくさんあるから。』

なんでもプラスに替えちゃう俺の嫁さん。
そんな風にニコニコ言われたら頑張るしかないでしょ。
さて。今日も心にホッチキスして、仕事に行きますか。

〈山梨県〉 松下 加奈さん (女性・10代)
 今日は弟の誕生日。彼は十五になった。明るくておしゃべりで、人の気持ちを汲みとってくれる優しい弟だ。今日も、いちごの好きな私に、バースデーケーキの上のいちごをくれた。笑顔でケーキをほおばる弟。大きくなったなあ。優しい人に育ってくれた。

 「出掛けよう」と言った。彼は足に装具をつけて街を歩く。年頃になった私は彼への視線を感じる。彼は、どうってことなさそうだ。強いよなあ。だったら私もどうってことない。彼が生まれた十五年前の今日から、私は家族の前に出て宣言した言葉をずっと忘れない。

 「私が、こうちゃんを、まもります」

 彼がどんな目を向けられても、何を言われても彼は平気な顔をしている。その細い足で前に進んでいる。人より辛いことを知ってるから、人より何倍も手術しているから、人に優しくできるんだよね。私は彼の姉だけど、彼の存在に引っぱられてる。あなたがいるから私は前に進めるの。大きくなってくれて、ありがとう。君と笑っていられる今日が、いちばん幸せです。

〈茨城県〉 かどまさん (女性・20代)
 18歳の誕生日に、母から絵本をプレゼントされた。笑顔で差し出す母に、絵本なんかより欲しいものがあったのに、と不満をぶつけその絵本は放ったまま見向きもしなかった。母はごめんねと謝って、それでも誕生日を祝ってくれた。

 その年の冬、震災で家と一緒に絵本は流されてしまった。それから激動の日々が過ぎて、落ち着くまでにずいぶんかかった。私は一人暮らしを始め、母らは避難生活を送るようになった。絵本のことなど忘れ去っていた。

 ある日本屋で、偶然にその絵本を見つけた。表紙とタイトルしか知らない、母からの贈り物。手に取ってなんとなく開いてみた。

 描かれていたのは女の子と彼女を見守るお母さんのささやかな日常。穏やかで愛情に満ちた情景がやわらかな表現でつづられていた。「だいじょうぶ」「おかあさんがついてるよ」。

 受験勉強に追われ将来への不安でいっぱいだった当時の私への、母からの応援だったのだろう。私は受け取りもしなかった。母の思いを汲もうともしなかった。感謝と申し訳なさがあふれて止まらなかった。

 泣きながらその絵本を買って帰り、その夜は母に電話した。数か月ぶりの長電話となった夜だった。

〈福岡県〉 剛澄 貴恵さん (女性・30代)
 平成24年7月。二人目を妊娠したのもつかの間、ドクターから「流産」と告げられた。3歳の娘は、赤ちゃんを心待ちにしていたが、流産したことを伝えると、以降赤ちゃんの話をしなくなった。

 数ヵ月後、新しい命がもう一度私のおなかに宿ってくれた。また流産するのではないかと不安な毎日を送った。4歳になった娘は、私に抱っこされるのも我慢し、お姉ちゃんになることを待ちわびている様子がひしひしと伝わってきた。そして、予定日より一ヶ月早く、赤ちゃんが我が家へやってきた!

 赤ちゃんが家にきて、4人家族になった。娘はしきりに「おねえちゃんよ〜」と赤ちゃんに声をかけている。赤ちゃんが泣いても、娘は笑顔。そんなある日、娘が、玄関でくつを並べていた。ようやく一人でできるようになったお手伝い。すると、並んでいるのは4足。娘は言った。「パパ、ママ、わたし、そして赤ちゃんのくつ、並べたよ」赤ちゃんのくつは娘が小さくて入らなくなったくつ。自分のくつを赤ちゃんにあげるのだと言う。流産の悲しみを家族で乗り越え、そして今、4人家族になれた幸せ。娘の赤ちゃんに対する優しい気持ち。いい子に成長してくれたと親ばかだが嬉しく思う。そして、なぜかパパのくつだけが左右反対というオチがついていることにさらに家族に笑いをもたらしてくれた娘。ありがとう、お姉ちゃん。ありがとう、赤ちゃん。何気ない生活の中で、2人の子どもが私たち夫婦のもとに生まれてくれたこと、家族4人で笑っていられることが、こんなに幸せなことなんだと、並んだ4足のくつを見て実感した。

〈神奈川県〉 jaycoさん (女性・20代)
 高校生の頃ずっとアルバイトしていた弁当屋の唐揚げは一番美味い。

 バイトを始めた頃、どう見ても弁当屋に似合わない派手な格好をしている私を、お客さんは、みんな二度見していった。
珍しい物でも見るかのように不審顔のお客さん。

 だけど、店主のおじさんだけは違った。

 おじさんはいつも、お客さん達に私のこと、「すごく頑張り屋さんなんだ」って、何度も何度も言ってくれた。

 バイトの合間、おじさんと二人でお茶をすする時間が大好きだった。
おじさんは祖父の居ない私にとって、おじいちゃんみたいな存在になっていった。
おじさんの大好きな商店街の祭りに友達を連れて行った時は大喜びで写真を撮ってくれた。
成人式の時には着物を見せに行ったら、小さな店の売り上げで急いでお祝いを包んでくれたこともあった。

 そして今日、おじさんにウェディングドレスを見せたいって言ったら、おじさんは店先で涙目になった。
泣いちゃうから見れないよっておじさんは鼻を啜って、二人で店先で泣いた。

 散々泣いたあと、私はいつものように唐揚げを買うと、いつものようにおじさんはオマケのおかずをそっと包んでくれる。

 ーー優しいおじさんの作った唐揚げは、優しい味がする。

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